研究概要 |
肝代謝性インドシアニングリーン(Indocyanine green;ICG)と超短パルスレーザーを用いた新しい加齢性黄斑変性の光線力学治療法について,ラット脈絡膜新生血管(Choroidal neovascularization;CNV)モデルを用いて検討してきた。昨年度までの本研究成果により,超短パルスレーザーとICGを併用することで未治療群と比べて有意な治療効果(新生血管閉塞効果)の上昇を確認した。しかし,その治療効果の作用機序については不明な点が多い。そこで当該年度は,サル由来脈絡膜血管内皮細胞RF/6Aを用いて,超短パルスレーザーとICGを用いた光線力学治療の作用機序解明について検討した。その結果,RF/6A細胞のICG取込量は1.3nmol/10^5cellsであったにも関わらず,血管内皮細胞に対する殺細胞効果の指標となる活性酸素量測定研究では,超短パルスレーザーによる活性酸素発生は確認できなかった。これらのことから,ラット脈絡膜新生血管モデル実験での治療効果は活性酸素による殺細胞効果以外の可能性が考えられた。そこで,RF/6A細胞培養液中の血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor;VEGF)の発現量を測定したところ,レーザー照射条件の違いによりVEGFの発現量に違いが認められた。VEGFは新生血管形成に重要な因子であることから,VEGFを中心とした作用機序解明を行うことでICGと超短パルスレーザーを用いた新しい加齢性黄斑変性の光線力学療法の開発を提案できると考えられた。
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