研究課題/領域番号 |
18591918
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
不二門 尚 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50243233)
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研究分担者 |
日下 俊次 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (60260387)
大鳥 安正 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (40303953)
三好 智満 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70314309)
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キーワード | 電気刺激 / 神経保護 / 神経栄養因子 / 視神経症 / 緑内障 |
研究概要 |
(1)経角膜電気刺激による網膜・視神経の神経保護の分子機構の検討。 In Vivoで経角膜的に網膜を電気刺激すると、網膜神経節細胞死が抑制され、Insulin-like growth factor 1(IGF1)がup regulateされた事実を踏まえ、網膜のグリア細胞であるミュラー細胞の培養系を用い、IGF1に対して二相性パルス(幅1msec.,電流値0-10mA,周波数20Hz)で30分電気刺激直後および2時間後に抽出したmRNAに対してRT-PCRを行い、増加が認められるか否かを検討した。その結果、刺激直後にIGF-1のmRNAが有意に増加していることが示された。また、電気刺激による細胞内へのCa++流入を、Caイメージングで検討したところ、細胞内のCa濃度は電気刺激直後から増加し始め、30分後に1.5倍となり、刺激終了後15分まで増加は続いていた。この細胞内Ca濃度の増加はCa阻害剤であるNifedipineで完全に阻害された。これらの結果は、電気刺激によりIGF-1の転写が促進され、これに関係してL型のCa Channelを介して細胞内にCa濃度が増加することを示している。 (2)視神経症の症例に対する経角膜電気刺激の臨床研究 経角膜電気刺激(TcES)による視神経症治療の効果を、多数例に対して検討した。2003年6月から2006年5月までの間、大阪大学医学部眼科で6週〜8週の間隔でTcES治療し、3ヶ月以上経過観察した急性期を過ぎた虚血性視神経症20例20眼、および外傷性視神経症10例10眼を対象とした。Log MARに換算して0.3以上の視力改善が得られたのは、虚血性視神経症6眼(30%)外傷性視神経症5眼(50%)であった。Log MARで0.3以上視力が悪化した症例は見られなかった。Goldmann視野計で、より高い感度のイソプターが出現した症例は、虚血性視神経症9眼(45%)外傷性視神経症4眼(40%)であった。最も感度の高いイソプターの消失は、虚血性視神経症で2眼(10%)に見られた。これらの結果は、急性期を過ぎた虚血性視神経症および外傷性視神経症の一部に対して、経角膜電気刺激は視力回復に有用であることを示している。
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