研究概要 |
培養粘膜上皮移植術による眼表面再建術をし,さらに眼表面に生着した培養角膜上皮、培養口腔粘膜上皮および再結膜化した眼表面化した細胞形態をin vovo laser confocal microscopで観察した。培養口腔粘膜上皮は角膜上皮に類似したmicrovilliをもつ表層分化を示していたが、基底細胞密度は5000個/mm^2と高密度ではあるものの、細胞核は高輝度に観察され角結膜上皮とは異なる構造が観察された。培養上皮により再建された上皮層内には神経線維は観察されず角膜知覚の低下が認められ神経再生の遅延が存在することが推測された。 5症例から得られた眼表面に生着した口腔粘膜上皮を用いて細胞学的な検索を行った。生着上皮は角化型ケラチンである1,4型の発現は認められず、粘膜型ケラチン13およびケラチン3の発現が認められた。また角膜特異的ケラチン12、結膜杯細胞の特異的なMUC5ACムチンの発現は両者ともに発現されず、in vivoの口腔粘膜上皮と同様のケラチン発現パターンが観察され、眼表面においても角結膜上皮に分化することなくoral mucosal epithelial leneageを維持していることが解明された。一方、結膜上皮に置換された状態では杯細胞分化が観察され上皮ケラチン発現パターンも結膜上皮と同一になっていることが確認された。 動物実験としてラットの口腔粘膜からヒトと同様に培養上皮シートを羊膜上に培養することが可能であり、培養ラット口腔粘膜上皮シートの作成が可能であった。平成19年度の動物モデルを用いた基礎実験を行えた。
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