研究課題
基盤研究(C)
角膜上皮幹細胞や口腔粘膜上皮細胞を用いた培養粘膜上皮移植は、新しい眼表面再建術として難治性疾患の治療に大きな貢献をもたらしている。しかし、再生上皮の細胞増殖や分化がどのように制御されているなど解明すべき課題も多い。本研究では生着上皮をin vovo laser confocal microscopで観察し再生上皮の組織構築が検討できた。眼表面に生着した培養口腔粘膜上皮は角膜上皮に類似した細胞分化が誘導されており、基底細胞は高密度に分布し細胞増殖活性が維持されていることが観察できた。しかし培養上皮により再建された上皮層および羊膜下には長期間にわたり全く神経線維再生は観察されなかった。このことは眼表面再建後の角膜知覚検査が長期間にわたり著明な角膜知覚の低下することに一致し、三叉神経が羊膜を超えては再生してこないことが判明した。また上皮細胞におけるNGFを中心とした神経成長因子に対する反応性の検討では、口腔粘膜組織ではneurotrophinの親和性を持つp75が基底細胞層に存在するstem cellおよびprogenitor cellに特異的に発現していることが観察された。このことより眼表面に生着した口腔粘膜は神経成長因子であるNGF, neurotophin3,4などのにより、増殖制御されていると考えられた。生着上皮の細胞分化に対する検討においては、眼表面に生着した口腔粘膜上皮には角化型ケラチンである1,4型の発現は認められず、粘膜型ケラチン13およびケラチン3の発現が認められた。また角膜特異的ケラチン12、結膜杯細胞の特異的なMUC5ACムチンの発現は誘導されず、眼表面においては角結膜上皮に分化することなくoral mucosal epithelial leneageを維持していることが解明された。
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