研究課題
基盤研究(C)
本研究では同種造血幹細胞移植患者で証明されたドナー由来線維芽細胞についてGVHD病態形成への関与について動物モデルでの解析を次の3点に沿って行っている。平成18年度は病変部位のドナー由来線維芽細胞の存在を検討し、平成19年度はドナー由来線維芽細胞の細胞起源と病態形成への役割を追究する。1.マウスGVHDモデルの作成本年度は、申請時準備段階であったマウスGVHD線維化モデルについて造血幹細胞移植患者の涙腺と他臓器慢性GVHD線維化病理組織像に酷似する動物モデルの作成に各実験で成功した。このマウスでは、コントロールと比較して涙腺導管周囲上皮下組織、他臓器GVHD(皮膚、肺、肝臓、消化管、唾液腺)に高度な線維化病変とリンパ球浸潤をきたすことが判明した。例数をさらに増やして検討中である。高齢レシピエント(78週齢)への移植では組織解析によりさらに高度な線維化が認められている。2.ドナー由来の線維芽細胞の検出マウス線維芽細胞のマーカーとしてCD34、HSP47またはFSPから最適なものを選択し、最適な染色条件を決定し、免疫染色にて線維芽細胞を検出する検討を行なった結果、マウス組織パラフィン切片ではHSP47が涙腺線維芽細胞において最適なマーカーになることを評価し確認した。この分子はヒトGVHD涙腺でも発現を詳細に検討し、本年度論文として発表した。(Ogawa Y.Invest Ophthalmol Vis Sci..2007;48(3):1079-1086)今後マウス涙腺線維細胞のHSP47の発現の検討に本論文の研究成果を発展させる。3.ドナー由来線維芽細胞の細胞起源の検討来年度は、結膜GVHDにおけるドナー由来線維芽細胞の役割を直接的に証明し、病態を解明することを目標とする。移植するドナーの骨髄細胞の分画の検討をすすめ準備段階に入っている。
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Invest Ophthalmol Vis Sci 48.3
ページ: 1079-1086
Acta Ophthalmol Scand 84.4
ページ: 545-548