研究概要 |
キマーゼは肥満細胞特異的なセリンプロテアーゼであり、多様な作用を有する。私たちはこのキマーゼが重症のアレルギー性結膜疾患である春季カタル患者涙液中に高活性で検出出来ること、また、活性値が重症度と相関することを報告している。(Tear chymase in vernal keratoconjunctivitis. Curr Eye Res 28: 417-421, 2004.)ゆえに春季カタルの角結膜障害にキマーゼが関与している可能性があり、以下のことをin vitroにて明らかにした。 ・ヒト肥満細胞キマーゼは春季カタル患者涙液中より検出される同等の活性で、角膜上皮細胞のタイトジャンクションを分解し、バリアー機能を低下させる。同様に角膜上皮細胞の進展をフィブロネクチンを分解することを介して遅延させる(Mast Cell Chymase Decreases the Barrier Function and Inhibits the Migration of Corneal Epithelial Cells. Curr Eye Res 30: 1061-1069, 2005.) ・結膜上皮の接着を阻害(フィブロネクチンの分解を介し)し、2次的にアポトーシスを誘導する(Mast cell chymase induces conjunctival epithelial cell apoptosis by a mechanism involving degradation of fibronectin. Curr Eye Res 30: 429-435, 2005.) 現在私たちはキマーゼの角膜実質細胞に対する作用を検討している。 ・キマーゼによる角膜上皮細胞よりのTGF-βの遊離 ・上皮細胞TGF-βによる実質細胞の筋原繊維芽細胞への形質転換 ・形質転換に伴う角膜混濁メカニズム
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