研究課題/領域番号 |
18591934
|
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
海老原 伸行 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (20255699)
|
研究分担者 |
舟木 俊成 順天堂大学, 医学部, 非常勤講師 (80384121)
河野 博之 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70234094)
村上 晶 順天堂大学, 医学部, 教授 (90157743)
|
キーワード | キマーゼ / 春季カタル / TGF-β / 角膜実質細胞 / 筋原線維芽細胞 / stem cell factor |
研究概要 |
重症アレルギー性結膜疾患である春季カタルにおける肥満細胞特異的プロテアーゼ・キマーゼ(chymase)の役割について検討した。 春季カタル患者涙液中におけるキマーゼの活性値を測定した。涙液中のキマーゼ活性は春季カタルの重症度と相関した。次にヒト培養角膜上皮細胞に涙液中より検出出来る同活性のキマーゼを添加すると培養上清中のTGF-β濃度が上昇した。また、培養プレートより上皮細胞をスクレイブにて剥離し、残存細胞外基質にキマーゼを添加しても培養液上清中のTGF-α度が上昇した。すなわち、TGF-βは上皮細胞より産生され、細胞外基質に結合している。キマーゼはそのプロテアーゼ活性により細胞外基質を分解し、TGF-βを遊離したと思われる(上皮細胞をキマーゼで刺激してもTGF-β遺伝子レベルでの変化はなかった)。また、上記の培養上清をヒト培養角膜実質細胞に添加すると、細胞内のαSMA(α-smooth muscule actin.)の発現が上昇し、逆にCD34・keratocanの発現が減弱した。すなわちTGF-βにより実質細胞が筋原線維芽細胞へと形質転換したと考えられる。筋原線維芽細胞は種々のTH2サイトカイン刺激にて実質細胞に比較して肥満細胞増殖因子であるstem cell factorを多く産生する。以上よりキマーゼはTGF-βを介し、アレルギー炎症にpositive feed backをかけている。将来、キマーゼ特異的阻害剤の点眼が開発され春季カタルの治療に応用される可能性がある。
|