研究課題
基盤研究(C)
春季カタル患者を年余にわたり治療して行く上で最も大切なのは、その角膜合併症をいかに軽減するかである。キマーゼは肥満細胞特異的セリンプロテアーゼで、春季カタル患者涙液中に重症度と相関して高い活性が認められた。また、in vitroでキマーゼは培養角膜上皮細胞間のタイトジャンクション蛋白であるオクルーディン又はフイブロネクチンを分解することで角膜上皮細胞のバリアー機能の低下、移動の阻害を惹起した。また、キマーゼは角膜上皮細胞の産生する細胞外基質よりTGF-β_1を遊離し、活性化した。そのTGF-β_1は実質細胞を角膜筋原線維芽細胞へ分化させた。角膜筋原線維芽細胞は肥満細胞の増殖・分化・移動に重要な分子であるstem cell factor(SCF)を大量に産生した。TGF-β_1は結角膜上皮細胞よりの生理的キマーゼ阻害物質であるSLPI(Secretory Leukocyte Protease Inhibitor)の産生を抑制した。すなわち、キマーゼが角膜筋原線維芽細胞を介し、キマーゼ産生肥満細胞を増殖させるポジティブフィードバック機構が存在する。以上のことより、春季カタルの角膜合併症の病態にキマーゼが強く関与していることが明確になった。将来、キマーゼ阻害剤点眼が春季カタル治療に応用されていくと思われる。
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