本研究の目的は、本邦での未熟児網膜症におけるノリエ病遺伝子、FZD-4遺伝子、およびLRP5遺伝子の変異をスクリーニングし、これらの遺伝子変異が対象例に比べ未熟児網膜症に有意に認められるか否かを検討する。さらに上記のスクリーニングから正常群との違いが見出された遺伝子変異については、培養細胞系に過剰発現させ、βカテニンの発現量を比較することによって、変異遺伝子による細胞内Wntシグナル伝達系への影響を検討する。 本年度の研究実施計画は、臨床検体の収集と上記の3種の遺伝子のスクリーニングを行うものである。 1.臨床検体の収集 (計画)初年度から2年間で、各施設の遺伝子倫理委員会の承認のもと、対照群と未熟児網膜症群についてそれぞれ100余例の末梢血の臨床検体を収集する。 (実績)対照群については、112例の検体の収集を終了した。未熟児網膜症群については、8例の検体が収集された。 2.検体の遺伝子解析 (計画)収集された各検体からゲノムDNAを抽出し、PCRにて上記の3種の目的遺伝子を増幅し、得られたDNA断片の塩基配列をシークエンサーで同定する。 (実績)対照群については、全ての検体のゲノムDNA抽出が完了し、全例にPCRを行った。 未熟児網膜症例については、収集された全例のゲノムDNA抽出が行われ、それぞれについてノリエ病遺伝子とFZD-4遺伝子のPCR、及びその塩基配列の同定が行われた。
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