研究概要 |
本概究の目的は、本邦での未熟児網膜症におけるノリエ病遺伝子、FZD-4遺伝子、およびLRP5遺伝子の変異をスクリーニングし、これらの遺伝子変異が対象例に比べ未熟児網膜症に有意に認められるか否かを検討する。さらに上記のスクリーニングから正常群との違いが見出された遺伝子変異については、培養細胞系に過剰発現させ、βカテニンの発現量を比較することによって、変異遺伝子による細胞内Wntシグナル伝達系への影響を検討する。 本年度の研究実施計画は、臨床検体の収集と上記の3種の遺伝子のスクリーニングを初年度に引き続き行い、症例数を増やしていくものである。さらに目的遺伝子(FZD-4,LPR5,ND)の翻訳領域のcDNAを作成し、発現ベクターに組み込み、これをCos7細胞に遺伝子導入し、それぞれの目的遺伝子のタンパクを過剰発現させる。これらの細胞培養系でのWntシグナル伝達系への関与をβカテニンの発現で比較する。 1. 臨床検体の収集 (計画)初年度から2年間で、各施設の遺伝子倫理委員会の承認のもと、未熟児網膜症群について末梢血の臨床検体を収集し、そのゲノムDNAから、目的遺伝子の塩基配列の同定を行う。 (実績)未熟児網膜症群については、重症度の高い17例の検体が収集され、それぞれについて目的遺伝子の塩基配列の同定が行われた。 2. 培養細胞系での遺伝子導入による目的タンパクの過剰発現系の作成 (計画)目的遺伝子(FZD-4,LPR5,ND)の翻訳領域のcDNAを作成し、発現ベクターに組み込み、これをCos7細胞に遺伝子導入し、それぞれの目的遺伝子のタンパクを過剰発現させる。 (実績)目的遺伝子(FZD-4,LPR5,ND)の翻訳領域のcDNAが作成され、それをそれぞれHAタグの付いた発現ベクターに組み込まれた。Cos7細胞に遺伝子導入し、タンパクの過剰発現がウエスタンプロットにて確認された。
|