研究概要 |
白色家兎にアロキサンを投与して糖尿病モデルを作製し、発症8週間後に実験を行った。対照として正常白色家兎を使用した。眼圧上昇時(50,70mmHg)の視神経乳頭血流をレーザースペックル法によって測定した。正常では70mmHgまで眼圧上昇しても視神経乳頭血流はほとんど変わらなかったが、糖尿病モデルでは50,70mmHgいずれの場合も有意に低下した。糖尿病モデルでは、眼灌流圧と視神経乳頭血流が有意に相関し、自動調節能の消失が示された。さらに、gap結合の選択的阻害剤であるオクタノール(1,3,10mM)を硝子体投与した上で眼圧上昇時の視神経乳頭血流を測定した結果、糖尿病モデルでみられたと同様に自動調節能が減弱し、その作用は用量依存的に増強された。 ニホンザル3頭を対象とし、眼圧上昇時の視神経乳頭血流変化を測定した。1眼は前処置なし、他眼は前処置としてオクタノール10mMを硝子体投与した。前処置の1時間後に、上記方法により眼圧上昇時の視神経乳頭血流変化を測定した結果、オクタノール投与眼では自動調節能の低下がみられた。 以上より、網膜血管周皮細胞・内皮細胞間のgap結合が視神経乳頭循環や網膜循環の自動調節能に関与していることが示唆され、以前の研究成果も考え合わせると、糖尿病においてはgap結合の障害による視神経乳頭循環や網膜循環の調節低下があり、それが視機能障害に関与している可能性が考えられた。
|