研究課題/領域番号 |
18591943
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
緒方 奈保子 関西医科大学, 医学部, 助教授 (60204062)
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研究分担者 |
和田 光正 関西医科大学, 医学部, 助手 (40333215)
城 信雄 関西医科大学, 医学部, 助手 (50411533)
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キーワード | 糖尿病網膜症 / 血管新生 / PEDF / VEGF / 細胞接着分子 |
研究概要 |
糖尿病性網膜症は,成人失明の第一位をしめる。2型糖尿病自然発症ラット(SDTラット)は、ヒト増殖糖尿病網膜症に似た新生血管を伴う眼内増殖組織の形成がみられる。しかしながら、網膜新生血管の発生はまれで、ヒト糖尿病網膜症と異なり、眼底に毛細血管床の閉塞による無灌流領域が見られないことが特徴であった。無灌流領域の形成には白血球と血管内皮との接着(leukostasis)が重要でそれにはinercellular adhesision molecule-1(ICAM-1)の作用が大きい。そこでSDTラットおよびstreptozotocin誘発糖尿病ラット(STZラット)における網膜のleukostasis、さらに血漿中のPEDFとICAM-1発現を検討した。その結果、STZラットではSDTラットよりもleukostasisが亢進していたが、ICAM-1レベルは有意差がなかった。一方、PEDFはSDTラットの方が有意に高レベルであった。このことから高レベルのPEDFが1eukostasisを抑制し毛細血管床の閉塞を阻害している可能性が示唆された。 培養血管内皮細胞に単球を接着させ、PEDFおよびVEGFを添加し、leukostasisの変化をin vitroで検討したところ、VEGFの添加によってleukostasisが亢進した。しかし、PEDFの添加によってVEGFで誘導されるleukostasisは抑制され、PEDFがVEGFで誘導されるleukostasisを抑制することがわかった。 ヒト糖尿病患者および正常者コントロールの血中PEDF濃度を測定し、糖尿病性網膜症戸の関係を検討した。その結果、コントロールに比べ糖尿病患者では、血中PEDF濃度が有意に高値であった。また、網膜症の進行につれて血中ぺDF濃度は増加の傾向をしめし、増殖糖尿病網膜症患者では単純網膜症患者より有意に高値であった。以前より増殖糖尿病網膜症の眼内PEDF濃度は低下していることが示されていることから、血中濃度と眼内濃度に乖離のあることがわかった。
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