研究概要 |
実験法:横隔膜ヘルニアラット(CDHラット)の作製:妊娠(GA)9日のラットにNitrofen 100mg/1ml olive oilを経口投与する。コントロールとして、olive oilのみ経口したものをC群とする。G17、19、21日目に帝王切開にて胎仔を摘出。GA-17、19、21日目の胎仔は、顕微鏡下に横隔膜ヘルニアの有無を確認後、胎仔肺を摘出し、CDHが形成されなかった群:CDH-群、CDHが形成された群:CDH+群に分類する。C群、CDH-群、CDH+群の肺組織からcDNAを作成した。 RT PCRによるephrin発現量の解析 RT PCR hybriporbeの作成:ephri subclass A1,B2のhybriprobeと検量線用probeを作成し、C群、CDH群、CDH+群のGA17、19、21日目の各肺組織でのephrinRNA発現をRT PCRを用いて測定した。Internal marker(GAPDH)による補正を行い、ephrin A1,B2のRNA発現量を定量した。 結果 C群、CDH-群、CDH+群のGA17、19、21日目の各肺組織でのephrin A1,B2のRNA発現量の差は、認めなかった。 考案 Ephrin B2は、肺血管構築に早期に関わり、A1は胎生後期に発現し、発現部位では、B2は肺動脈、A1は肺胞上皮に発現すると報告されている。モデルラットの解析では、A1,B2共に発現量の差を、C群、CDH-群、CDH+群のGA17、19、21日目の各肺組織で認めなかったことから、横隔膜ヘルニア、Nitrofenによる影響を共に受けない事が示唆された。これは、ephrin自体が肺組織の基本構造に関与する遺伝子であり、肺低形成や肺血管壁の肥厚に関与していない事が示唆された。
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