研究概要 |
【目的】ラットCDHモデルを用いて肺血管形成、トーヌスに関与する遺伝子の発現を解析し、胎児肺動脈壁肥厚の抑制が可能か検討する。 【方法1】妊娠SDラットにnitrofen(NT)を経口投与しCDHを作製。胎生(GA)17、19、21日に胎児肺組織を摘出。血管形成遺伝子:VEGF、angiopoietin-1,2、ephrinA1, B2、血管平滑筋増殖因子(PDGFb)及び各receptor、ET1、ET1 receptor-A Bの発現量を対照群とRT PCRを用いて比較した。 【結果1】CDH群では対照群と比較し、GA21でangiopoietin-1の発現量が優位に低下していたが、VEGF、angiopoietin-2、ephrinAl, B2、PDGFb、各receptorの発現量は各GAで差を認めなかった。ET1はGA21、ET1 receptor A, BはGA19, 21においてCDH群で優位に発現量の増加を認めた。この結果からCDHでは胎児肺動脈壁肥厚にET1が大きく関与していることが考えられ、ET1 receptor A antagonist:PD156707(PD)を用いて肺動脈壁厚に及ぼす影響を検討した。 【方法2】妊娠ラットにNT投与後、GA15〜19までそれぞれPD50,100mg/kgを経口投与(PD50群、PDIOO群)し、対照は生食のみ投与した。この他NTを投与しない群を正常群とした。GA20に肺組織を摘出後、肺動脈壁の肥厚とVEGFの発現量を比較した。 【結果2】肺血管壁の肥厚は、対照群に比べPD50/100群で優位に抑制された。VEGFの発現量も対照群、正常群に比べPD50/100群で優位に高値であった。 【まとめ】CDHにおける肺動脈壁肥厚にはETI、ET receptorの発現量増加が大きく関与していると考えられ、antagonist投与により優位に壁肥厚が抑制され、今後他のantagonistによる検討を行う予定である。
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