研究概要 |
胎児診断の普及と超音波診断技術の普及に伴い、横隔膜ヘルニア(以下CDH)の胎児診断例は増加し、生直後より専門施設でのintensive careが行われている。しかし、現状では胎児診断されたCDHの予後は一般的に不良であり、胎児診断の恩恵を受けていない。この理由として胎児診断のCDH予後不良例の肺は極めて未熟であり、肺低形成および血管平滑筋の肥厚による肺高血圧の2つの重篤な病態を伴っている。近年の分子生物学的研究により、肺血管の発生とremodelingの過程に関わる遺伝子 : VEGF, angiopoietin, ephrinが解明され、肺血管形成の過程とこれに関わる遺伝子の発現が分かってきた。更に、肺血管トーヌスを司る遺伝子としてendothelinが関与していることが判明した。nitrofen経口による胎仔CDHモデルラットを用い、胎仔CDHモデルにおける肺血管構築に関わる遺伝子ephrin、肺血管トーヌスをコントロールする遺伝子 : endothelinの発現を解析する。更に各antagonistを用いて、出生後の効果的な肺高血圧を予防し、新たなCDH胎児治療が可能か検討を行う。
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