当初、エトレチネートを使用予定であったが、エトレチネートの入手に時間を要したため、比較的入手が容易なレチノイン酸を用いて実験を施行した。レチノイン酸は以前我々の教室で使用した経験があるため、投与量等はそれに準じて施行した。すなわち、妊娠9日目のマウスにレチノイン酸100mg/kgを経口投与した。しかし、直腸肛門奇形を有するマウス胎仔の得られる確率は100%には満たなかった。そのため、レチノイン酸投与群で確実に直腸肛門奇形マウス胎仔を採取することができず、その発生過程におけるアクチンをはじめとするさまざまな骨盤底筋群の形成に関わる因子の検索が困難であった。今後はエトレチネートを入手し、妊娠9日目のマウスにエトレチネートを60mg/kg経口投与することで確実に直腸肛門奇形マウス胎仔を採取し、その発生過程における骨盤底筋群の発生過程を三次元的に検索していく予定である。つまりwhole-mountの状態でin situ hybridizationを施行し、解析していく予定である。そして、それぞれの因子の発現量をPCR法を用いて定量していく予定である。そのための機器を購入し準備中である。前記のような状況であったため、正常マウス胎仔の直腸肛門およびその周囲の器官培養の実験には至っていない。今後はクリーンベンチを整備し、培養液等必要物品を購入し準備をすすめていく。成果があがり次第、順次学会発表および論文投稿を行う予定である。
|