研究課題/領域番号 |
18591963
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鳥谷部 荘八 東北大学, 病院, 助教 (90375006)
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研究分担者 |
館 正弘 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50312004)
今井 啓道 東北大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (80323012)
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キーワード | 創傷治癒 / 皮膚難治性潰瘍 / バイオフィルム / 感染症 / 創傷被覆剤 |
研究概要 |
【目的】近年、細菌感染症の難治化要因のひとつとして、生体表面や組織内に形成するバイオフィルムが注目されている。創傷治癒においてもバイオフィルムの形成により難治化が予想されている。in vitroにおける人工バイオフィルム形成モデルの報告は散見されるが、実際の動物皮膚潰瘍モデルにおけるバイオフィルムの研究は少数である。以前より我々はラット皮膚潰瘍モデル(緑膿菌PAO1株)を用いて、潰瘍面に存在する緑膿菌バイオフィルムの観察を可能とし報告してきた。本モデルを発展させ、さまざまな条件下においてバイオフィルムを観察し、創傷治癒への影響を検討する。ラット皮膚潰瘍モデル(PAO1株)を角いてバイオフィルムを観察し、更にQuorum-sensing機構の構成遺伝子欠損株(Las I、Rhl I遺伝子欠損)を観察し、比較する。また血流不全状態を作成しバイオフィルム形成について検討する。【方法】雄S-Dラット背部に皮弁を作成し、皮弁内外に潰瘍を作ることにより、虚血性潰瘍(ischemia群)と非虚血性潰瘍(control群)とした。潰瘍内に緑膿菌(PAO1株およびLas I、Rhl I遺伝子欠損株)を播種後、染色し、観察した。【結果・考察】8時間後においてすでに、バイオフィルムの形成が認められた。虚血性潰瘍に比べ、非虚血性潰瘍におけるバイオフィルムの形成が比較的多く認められる結果となり、創傷への好中球浸潤が何らかの形でバイオフィルム形成に関与している可能性が示された。 また、遺伝子欠損株はPAO1株に比べて細菌定着が少なく、上皮化が比較的早く、バイオフィルム形成は少ない傾向にあった。今後このQuorum-sensing機構を阻害することがバイオフィルム形成を阻害し、創傷治癒促進につながる可能性を示唆した。
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