研究課題
(目的)2006年4月から乳癌術後乳房再建術が保険適応となり、今後ますます増加傾向を示すものと思われる。しかし、乳房再建においても様々な問題点が山積しており、今後の動向を探る上でも現状を把握することが重要と思われる。そこで、乳癌術後乳房再建の現状を把握し、数量化することによりその特色と課題を知り、今後の方向性に資することを目的として形成外科医と乳腺外科医を対象としたアンケートによる実態調査を実施した。(方法)2007年1月に郵送によるアンケート調査を実施した。対象は、全国の日本形成外科学会認定施設、教育関連施設(322施設)および全国の日本乳癌学会認定施設、教育関連施設(609施設)とし、アンケート項目は、病院のプロフィール、乳癌治療の診療実態、乳房再建の診療実態、一期的乳房再建の診療実態、二期的乳房再建の診療実態、今後の乳房再建のあり方に関する内容とした。(結果)形成外科医の回答は322施設中212施設より得られ、回収率は65.8%であった。乳腺外科医の回答は609施設中356施設より得られ、回収率は58.5%であった。形成外科医と乳腺外科医の乳房再建に関する関心度はそれぞれ95.8%、98%であり、その高さが示された。しかし、関心度の高さが実施率には反映されておらず、実施率の低さは一期再建・二期再建とも際だっていた。この調査の結果は形成外科関連と乳癌関連雑誌に投稿し、2008年に掲載された。(考察)形成外科医と乳腺外科医にとって乳房再建は非常に興味深い分野であり、実施したいと考える医師も多いが、それを行うためのハードルも高いことが明らかとなった。それを乗り越えるために、乳腺外科と形成外科のチーム医療を行うことがお互いの共通認識として最重要課題であることが判明した。今後は乳房再建術後患者の再発率の問題や費用対効果分析などについて更なる研究を行いたい。
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