遠位端側神経縫合部における二重神経支配の時期的検討 <目的>神経移植の際に端側神経縫合を遠位で行なう時、本来は生じないとされる二重神経支配などの可能性がある。我々は、第14回日本形成外科学会基礎学術集会においてその再神経支配の形態について検討し発表したが、今回はその縫合における時期的検討を行なった。 <方法>ラットの端側神経縫合モデルとして、坐骨神経を約40mm採取し右正中神経から左正中神経に交叉神経移植を行う。右正中神経は遠位で切断して移植神経と端々縫合を行ない、移植神経を左正中神経に端側縫合する。端側縫合を行う際には供与神経(側神経)の上膜開窓を行う。その後、左正中神経は、端側縫合部近位にて切断を行って麻痺を生じさせる。この切断部は後目縫合を行なう。左前腕の再神経支配は移植神経を通してのものと、再縫合した神経を通してのものとの2種類の神経から行われることになる。ここで、縫合を行なう時期を初回手術から2週間、4週間、6週間の3群に分ける。初回手術から60日後に活動電位及び筋電図を測定し神経再生の有無を確認した。移植神経、左正中神経(遠位及び近位)を採取、再生神経の形態観察を光学顕微鏡下で行った。また、前腕屈筋群の乾筋重量を測定しその左右差について評価した。遠位端側縫合部について、神経トレーサーのDiI及びDiAの二重染色を行なって観察した。 <結果>全群の全例で活動電位・筋電図が得られた。乾燥筋重量の左/右比において2週間モデル・4週間モデル・6週間モデルの順に数値が下降していた。二重染色モデルにおいて二重神経支配の存在を直接的に観察しえた。 <考察>移植神経の遠位部で端側神経縫合を行なう際には、一つのルートからの再神経支配が完成する前の、より早い時期に行なうことが望ましいと考えられた。
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