本研究の目的は今まで使用してきた人工皮膚材料にさらに組織工学的手法を用いて免疫細胞を加えヒト皮膚モデルとし、これに対して創傷を作製して実際の皮膚における創傷治癒過程をシミュレーションして解明するとともに、その過程において培養液中に各種創傷治癒因子を付加して創傷治癒反応の変化を調べることである。 平成18年度はマクロファージを付加したヒト皮膚モデルにレーザーを照射して創傷を作成した後の創傷治癒過程を調べた。 まずヒト皮膚モデルにマクロファージを付加した際の創傷治癒反応の変化を明らかにするための基礎実験を行った。具体的にはまずマクロファージを組み込んでいない標本に対して炭酸ガスレーザーを照射してその後の創傷治癒の変化についての病理組織的・免疫組織化学的検索を行った。さらに標本内にマクロファージを組み込むための基礎実験とその創傷治癒の変化についての病理組織的・免疫組織化学的検索は現在継続中である。 標本内にマクロファージを組み込んだヒト皮膚モデルに各種創傷治癒因子を付加した際の創傷治癒反応の変化についても、基礎的な実験としてレーザーを照射していない標本に各種のサイトカイン類を培養液中に添加してその至適培養条件を検索した。 今後はマクロファージを組み込んだ人工皮膚モデルにレーザーを照射してその創傷治癒過程に各種サイトカイン類を作用させたことによる変化を病理組織的・免疫組織化学的に検索する予定である。
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