下大静脈血栓モデルを作成し、静脈血栓後の再疎通および弁機能の評価を行った。下大静脈を露出後、ナイロン糸で結紮した。結紮後、下大静脈はデュプレックス・スキャンのB-モードで低輝度を示し、またのパルス・ドプラーモードにおいて血流信号の消失を認め、下大静脈血栓モデルが作成されたことを確認できた。 血栓作成後、デュプレックス・スキャンで血栓の変化を経日的に観察したところ、初期の輝度が一様に低輝度の状態から、数日後には高輝度の部分を認めるようになり、さらに部分開通の部分から血流再開を認め、再疎通が明らかとなった。再疎通が全体の50%を越えた時点で逆流の検査を行った。下大静脈血栓モデルを30-40°逆Trendelenburg体位としValsalva負荷をかけ、パルス・ドプラーモードにおいて血流信号を観察したところ、一部で逆行性の血流を認めた。 上記の基礎実験で、下大静脈血栓モデルで血栓再疎通および弁不全をきたすことが判明したため、今後下大静脈生体静脈弁置換モデルを作成する予定である。具体的には深部静脈血栓後遺症予防および治療のため、nitinol製Z-stent(Cook Inc.)を使用し生体静脈弁のプロト・タイプを作成する。さらに、長さ110cmのイントロデューサーとtipを含んだ、delivery systemを用い、下大静脈内にdeployした後、下大静脈内でstentを開大、留置する。下大静脈生体静脈弁置換モデルを作成後、上記の基礎実験同様、血栓形成および逆流の有無を観察していく予定である。
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