研究課題/領域番号 |
18591973
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
土佐 眞美子 日本医科大学, 医学部, 助教 (30301568)
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研究分担者 |
モハマツド ガジザデ 日本医科大学, 老人病研究所, 准教授 (30190979)
村上 正洋 日本医科大学, 医学部, 准教授 (00239500)
川並 汪一 日本医科大学, 老人病研究所, 教授 (70096973)
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キーワード | ケロイド / 培養線維芽細胞 / IL-6シグナル / STAT3 / 遺伝子解析 |
研究概要 |
[目的]ケロイドの発生原因は未だ不明であり、確実な治療方法も確立されていないのが現状である。われわれはケロイド原因遺伝子の解明および新しい治療法の確立を目指して、分子レベルの解析を行ってきた。cDNAマイクロアレイ解析により、ケロイドと正常皮膚を比較して、ケロイドにおいて2倍以上の発現変化が認められた遺伝子群(ケロイド関連遺伝子群)をピックアップし、その中から、IL-6に着目して、ケロイド発生との関連性について解析を行った。 [方法]平成18年度は、ケロイドにおけるIL-6、IL-6受容体、gp130の発現解析(RNA、タンパクレベル)とIL-6→STAT3シグナル、IL-6→ERKシグナルの動向を検討した。さらに、平成19年度には、IL-6シグナル機能解析を行った。機能解析は正常真皮由来線維芽細胞(NF)にIL-6を作用させ、細胞生存曲線を作成した。細胞外マトリックス関連遺伝子(Fibronectin、collagen type I α2)の発現をRT-PCR法にて解析し、RIA法を用いて、procollagen type I合成能の解析を行った。次に、ケロイド由来線維芽細胞(KF)に抗IL-6抗体を作用させ、細胞曲線を作成した。細胞外マトリックス関連遺伝子(Fibronectin、collagen type I α2)の発現をRT-PCR法にて解析し、RIA法を用いて、procollagen type I合成能の解析を行った。 [結果]KFにおけるIL-6、IL-6受容体、gp130の発現はいずれもNFと比較して上昇していた。また、IL-6→STAT3経路の発現上昇が確認された。機能解析では、NFにIL-6を作用させると、細胞数の増加が認められ、さらに、procollagen type I産生量も増加した。反対に、KFにIL-6抗体を作用させると、細胞数もprocollagen type I産生量も濃度依存性に抑制された。 [まとめ]以上の結果より、IL-6シグナルはケロイド発生に関与している可能性が示唆された。現在、IL-6受容体に対する抗体をケロイド由来線維芽細胞に作用させ、増殖能とコラーゲン代謝能に対する抑制効果について検討中である。この結果が明らかになれば、ケロイドにおけるIL-6の過剰発現を抑制し、その結果、新しい分子標的ケロイド治療薬の開発につながるかもしれない。
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