研究概要 |
【対象】ラット(male Sprague-Dawley rats)【方法】ラットの腹腔内にペントバルビタール(50mg/kg)を注入し麻酔。気管切開後、人工呼吸を施行した。右内頸動脈にカニューレを挿入し、動脈圧の測定および採血を行った。ラットは無作為に3群に分類した。1)Control群 : 生食0.3mlを腹腔内に投与。2)LPS+zymosan群 : 敗血症性ショックはLPS(3mg/kg)を生食0.3mlに溶解し腹腔内に投与、その後、zymosan(10mg/kg)を生食0.3mlに溶解し腹腔内に投与することにより作成。3)3-aminobenzamide前投与群(3-aminobenzamide+LPS+zymosan群) : Poly(ADP-ribose)synthetase活性阻害薬3-aminobenzamide(10mg/kg : 0.3mlの生食に溶解)を腹腔内に前投与。10min後にLPS(3mg/kg)およびzymosan(10mg/kg)を腹腔内投与。測定項目 : 動脈血液ガス、血糖値、血中乳酸値、血中炎症性サイトカイン(TNF-α, IL-6)濃度。測定は0,4hrで行った。4hr後に屠殺し、肺のwet/dry比と組織中の炎症性サイトカイン(TNF-α, IL-6)のmRNAを測定した。【結果】LPS+zymosan群では、血圧低下、血中乳酸値上昇、代謝性アシドーシス、肺組織中の炎症性サイトカイン(TNF-α, IL-6)の発現がみられたのに対し、3-aminobenzamide前投与群では、血圧が維持され乳酸値上昇も軽度で、肺組織中のmRNAの発現も軽度だった。【結論】敗血症性ショックにおいて、3-aminobenzamideが血行動態を改善させ、肺組織中の炎症性サイトカインのmRNA発現を減少させたことから、poly(ADP-ribose)synthetase活性を阻害することにより全身性炎症反応を抑制し敗血症性ショックを改善することが示唆された。
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