研究概要 |
日本版CAM-ICUを用いてせん妄・非せん妄の診断を行った患者が2007年3月で30例となった.そのうちの27人に関して解析を行った.挿管患者10人,非挿管患者17人で年齢はそれぞれ55±13,60±13歳であった.APACHEIIスコアは16±6,10±7,SOFAスコアは4±2,3±2と挿管患者の方が高い傾向にあった.ICU日数も16±10,10±5日と長い傾向にあった.これらは従来言われているせん妄の危険因子であり,今回の研究でも非挿管患者の0人,挿管患者の9人にせん妄が出現した.また,当然ではあるが,挿管患者には鎮静薬を使用しており,その関与も考えられた.また,感染症の合併が挿管患者6人(60%)に対し,非挿管患者2人(12%)であった.せん妄には重症度,多臓器不全,鎮静薬の使用,人工呼吸期間,感染症の合併が関わっている可能性が示唆された(第34回日本集中治療医学会学術集会 3月 於神戸). 次に日本版CAM-ICUを国内に普及させるため学会誌にレターとして投稿した.ICUにおけるせん妄評価法(CAM-ICU)(日集中医誌2007;14:229). 最後に,エントリー患者26人の採血検体を用いて血漿抗コリン活性(PAA)を測定した.詳細は今年10月に行われる第35回日本救急医学会総会で発表予定であるが,PAAとせん妄との関連を認めた.すなわち,せん妄発症時のPAAは非せん妄時に比べて高い傾向にあった. 今後,日本呼吸療法学会に於いて「人工呼吸中の鎮静ガイドラインの作成」に関与する予定である.
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