マウス背部に蒸気法にて熱傷を作成しその後経時的に脾臓を摘出し遊離脾細胞を作製した。フローサイトメトリーを用いて、脾細胞におけるHLA-DR(IAd)発現を検討した。その結果、熱傷4日目からIAd発現低下を示した。同時にIL-12、IL-6産生能を検討したところIAd発現低下とともにIL-12、IL-6産生:の低下も見られ、immunoparalysisに陥っていることが示唆された。IAd発現率は受傷前100%であったものが14日目には15%、21日目には6%と顕著な低下を認めた。熱傷14日目の脾細胞マクロファージIL-12産生能は、対照の20%以下と著明な減少を認めた。熱傷14日目の脾細胞マクロファージをin vitroでCpG DNAと72時間培養したところ24時間後よりIL-12産生能の著明な回復を認めた。同様な結果はIAd発現においても観察された。すなわちimmunoparalysisに陥っていたマクロファージが、in vitroにおけるCpG DNA投与によってIL-12産生能およびIAd発現の回復を認めることが明らかになった。同様に作製した熱傷マウスにCpG DNAをin vivoで前投与したところIAd発現低下が改善しており、CpG DNAによる免疫賦活作用によりimmunoparalysisから脱却した可能性が示唆された。本結果より重症疾患においてしばしば認められるimmunoparalysisに起因する二次感染に対してCpG DNA投与による免疫賦活療法が有効な治療法になりうることが示唆された。
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