研究課題/領域番号 |
18591999
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
形態系基礎歯科学
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
程 クン 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40207460)
|
研究分担者 |
丸山 智 新潟大学, 医歯学系, 助教 (30397161)
朔 敬 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40145264)
|
研究期間 (年度) |
2006 – 2007
|
キーワード | 石灰化歯原性腫瘍 / 細胞培養 / 歯原性上皮 / 細胞外基質 / 石灰化 / 免疫組織細胞化学 / RT-PCR / 遺伝子変異 |
研究概要 |
本研究実施によって、ヒト上顎骨原発石灰化歯原性嚢胞(COT)の外科手術材料より腫瘍細胞単離し、COT1-COT6の6株細胞を樹立した。同細胞系の維持によって、周密化までの培養期間中に経時的に固定または回収して、免疫細胞化学とRT-PCR法による発現分子をおこない、さらに染色体標本のトリプシンG-バンド法による解析によって第9-13染色体の相互転座はじめ種々の染色体レベルの異常をみいだした。これらの細胞はケラチン16やアメロジェニン等の歯原性上皮性格を発現していた。 細胞系樹立実験と平行して、本学病院の病理診断ファイルから、COTと診断された症例を収集し、再度検鏡後、嚢胞性部分、充実性増殖した部分、浸潤性部分、とくにそれら病変の移行部分を注目して詳細に再検討し、歯原性上皮細胞マーカ、各種細胞外基質とその関連分解酵素、石灰化関連分子等の発現を検索した。その結果、幻影細胞には、パールカン、テネイシン、ファイブロネクチンほかの細胞外基質分子が蓄積しており、これに対応して、MMP7やβカテニンも共発現していることが判明した。すなわち、COTに特徴的な幻影細胞の特徴的形態は細胞外基質の分泌障害によること、さらに、Wntのシグナル伝達経路の変調も生じていたので、それらの分子経路の相互関連が推測された。 以上の組織ならびに細胞レベルでの検討から、染色体転座および細胞外基質分子分泌異常が複雑かつ相乗的に関与して、良性歯原性腫瘍COTの悪性転化が成立している可能性が示唆されたわけで、良性腫瘍の二次的悪性転化機構の具体的な分子背景を新たに追加することができた。
|