研究課題
基盤研究(C)
本研究では、歯の萌出、メッケル軟骨の発生・消失過程並びに長幹骨初期形成過程に焦点を絞り、これらの組織構造過程におけるマクロファージや好中球等の遊走系細胞の出現の有無、経時的な質的・量的変化並びに消失・破壊を誘導する機序について解析を行う。また、遊走因子の解析とその産生細胞の同定を行う。更に、遊走系細胞の部位特異的遊走機構について解析し、これら細胞の組織形成関与について明らかにすることを目的とし、今年度解析を行ってきた。本年度はメッケル軟骨消失過程について、in vivo並びにin vitroについて解析を行ってきた。メッケル軟骨基質は経日的にヘマトキシレン好性からエオジン好性に染色性が変化した。アルシィアンブルー染色において、軟骨基質の染色性がヘマトキシレンーエオジン染色の染色性の変化に一致して減少した。また、メッケル軟骨消失過程を抗I型、II型コラーゲン抗体で免疫染色したところ、エオジン好性を呈する軟骨基質の染色性の変化に一致して、I型コラーゲンが出現してくる現象を見いだした。また、各胎生期のメッケル軟骨を培養したところ、胎生16-17を境して、胎生期の進んだメッケル軟骨は消失することを見いだし、免疫染色の結果から、消失が起こることとマクロファージの存在の有無が一致する結果をも得た。各胎生期のメッケル軟骨のI型コラーゲン・II型コラーゲン・インターロイキン1のmRNA発現をRT-PCRで検索したところ、胎生15ではI型コラーゲン・インターロイキン1の発現がないが、胎生17ではI型コラーゲン・II型コラーゲン・インターロイキン1の発現が認められた。これらの結果は、組織形成過程における遊走系細胞の関与を強く示唆する。
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