研究課題/領域番号 |
18592019
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
八巻 真理子 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (90360221)
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研究分担者 |
小澤 英浩 松本歯科大学, 大学院歯学独立研究科, 教授 (60018413)
中村 浩彰 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (50227930)
小林 泰浩 松本歯科大学, 大学院歯学独立研究科, 助教授 (20264252)
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キーワード | 歯胚間葉系細胞 / MDU1 / ES細胞 / 分化誘導能 / 上皮-間葉相互作用 / キメラ胚様体 / コラーゲン3D担体 / テラトーマ |
研究概要 |
我々は歯胚形成初期における"歯胚間葉系細胞"の細胞分化誘導能に着目し、多分化能を持つES細胞と組み合わせることでin vitroでの歯の形成機構の解明を試みた。まず、マウス13.5日齢胎仔の歯胚の間葉系細胞を分離し、継代培養して安定した細胞系列を作製しMDU1と名付けた。MDU1をフィーダー細胞としてマウスES細胞を共存培養すると、ES細胞は経時的にケラチンを産生する上皮系細胞へと分化し、MDU1はES細胞を強力に分化誘導する能力を持つことが示された。また、共存培養したMDU1とES細胞をバラバラにし、低接着性のプレートに播種して球体を形成した。この球体は誘導因子によりそれぞれ内、中、外胚葉マーカー蛋白を発現し、ES細胞様の3胚様分化能を持つことが明らかになり、我々はこの球体を"キメラ胚様体(キメラEB)"と名づけた。次いで、キメラEBをコラーゲン3D担体(CS)に接着させ5〜14日間培養して腎皮膜下に移植すると、移植後7週間を経過しても全く奇形腫(テラトーマ)を形成しないことがわかった。そこで、これら試料の遺伝子発現を検討したところ、キメラEBでは未分化マーカー群および腫瘍形成マーカー遺伝子を発現しているにもかかわらず、CSに接着するとこれらを発現しないことがわかった。ES細胞を再生医療に用いる際の最も重要な問題点は、移植後のテラトーマ形成である。従って、"キメラ胚様体"を利用したES細胞の誘導方法は、上皮-間葉相互作用により様々な組織を再生できる可能性があり、かつ、誘導した細胞群をCSに接着し移植する方法はテラトーマを抑制する効果的な方法と考えられた。「キメラ胚様体法」および「テラトーマ抑制法」に関しては論文投稿中であり、共に特許出願中であるる。
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