研究概要 |
平成18年度は、インフルエンザウイルスと口腔細菌との混合感染によるマウス致死の条件検討および各種口腔レンサ球菌群を用いての混合感染によるマウス致死率の検討を行った。使用ウイルス株(A/FM/1/47株[H1N1])のLD50値の100分の1である25FFUを経鼻感染するだけではマウスに何ら病原性を与えることがないが、ウイルス感染2日後に非致死量の黄色ブドウ球菌(10^7 CFU)を経鼻感染することによって80%ものマウスが細菌性肺炎で感染死した、以上の条件に基づき、ウイルス感染2日後に口腔レンサ球菌(Streptococcus mutans, S. sanguis, S. salivarius, S. equi)を10^7 CFU感染したところ、ウイルスとS. mutansとの混合感染により60%,その他の各種細菌とウイルスとの感染によって100%マウスが肺炎により感染死した。各種細菌のみもしくはウイルスのみでの経鼻感染ではすべてのマウスは感染死を免れていることから、ウイルスと口腔レンサ球菌との混合感染により、黄色ブドウ球菌と同等もしくはそれ以上の致死毒性を発揮することが示唆された、この結果はDental Caries以外にさしたる病原性を示さないと考えられていた口腔レンサ球菌がインフルエンザウイルス存在下で致死性肺炎を起こす可能性を提示するものであり、最近論議されている致死的インフルエンザ感染症と口腔清掃状態との因果関係を示す重要な知見になりうると思われる。
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