研究課題
インフルエンザと口腔細菌との混合感染により感染症の重症化が顕著にみられる。この状態を予防するためにはワクチン接種が有効であると考えられる。しかし、インフルエンザ全粒子型ワクチンの接種を行った場合でも混合感染後の生存率は約80%と有意な予防効果がみられたものの、完全な予防効果を示すことはできなかった。肺での観察ではインフルエンザ感染後でも少数ながらインフルエンザ感染細胞が存在しており、この部分に細菌が付着、増殖していた。この結果は、インフルエンザ感染後の細菌の二次感染の予防に徹底的なインフルエンザ感染予防が重要であることが考えられる。インフルエンザワクチンは現在HAスプリットワクチンを使用していることから、このタイプのワクチンでウイルス感染をより強力に抑制できるシステムを作ることがインフルエンザ-細菌の混合感染症の発症予防に重要であると思われる。そこで、インフルエンザワクチンにポリ-γ-グルタミン酸ナノ粒子(γ-PGA-NPs)を混合することでインフルエンザに対する感染防御免疫効果について検討した。その結果、抗インフルエンザ防御免疫応答の増強が認められた他、HAワクチン接種マウスでも全例死亡する大量のウイルス量の感染に対しても80%のマウスが感染死を免れた。以上の結果から、γ-PGA-NPsをアジュバントとしたインフルエンザHAワクチンの接種が、重度のインフルエンザ感染に対しても感染防御効果を示すとともに、インフルエンザ感染後の二次的な細菌感染に対しても防御する可能性が考えられた。
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