研究課題
基盤研究(C)
歯根膜は顎骨と歯根との間に存在する線維性結合組織であり、線維芽細胞を含む多種類の細胞群で構成されている。しかし、これらの細胞が歯根膜中の各細胞の共通の前駆細胞から分化していくのか、それともそれぞれ細胞に分化することを運命づけられた前駆細胞が存在して、それぞれの成熟した細胞に分化していくのかはいまだ明らかになっていない。そこで、本研究ではクラウン系医用ミニブタ歯根膜から採取した歯根膜由来細胞にヒトTERT遺伝子発現プラスミド(pCl-neohTERT)を導入し、樹立された細胞株を用いてこれらの細胞の多分化能力とその分子メカニズムを明らかにすることを目的として研究を進めた。hTERTを導入しクローン化されたミニブタ歯根膜由来線維芽細胞様細胞4種(TesPDL1-4)の各種遺伝子発現等の特徴を調べた。いずれの細胞株も線維芽細胞様の形態をしており、Runx2、ペリオスチン、I型コラーゲン、オステオポンチンならびにsmooth-muscleα-actin mRNAの発現やアルカリフォスファターゼ活性が認められた。次に、TesPDL3細胞が多分化能力をもつかどうかについて検討した。TesPDL3細胞は石灰化誘導培地にて培養すると骨芽細胞あるいはセメント芽細胞様の細胞間基質石灰化能力をもつことが明らかとなった。また、TesPDL3細胞は血管内皮細胞マーカーであるCD31、VE-cadherin、及びvWF因子を発現することが示された。以上の結果を総合的に判断すると、歯根膜中には多分化能力をもつ細胞が存在すること、またこれらの細胞が血管構成細胞の起源となる可能性が示唆された。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
Molecular and Cellular Endocrinology 251・1-2
ページ: 42-48
Life Sciences 79・12
ページ: 1214-1220