研究課題
本研究はPeroxisome proliferator-activated receptor (PPAR)をはじめとする核内受容体の働きを阻害することにより、癌細胞に接着抑制によって引き起こされるアポトーシス「アノイキス」を誘発させ、それによって癌の増殖・浸潤・転移を抑制することを目的としたものである。本年度の研究から、PPARをはじめとする核内受容体による細胞増殖・癌化制御を他の癌細胞や動物モデルでも検討し、PPAR経路の活性化による癌化に高脂肪食が重要な役割を果たしていることを見出した。さらにPPAR経路によって発現が制御されている遺伝子をDNAマイクロアレイを用いて網羅的に解析したところ、Myeloid cell leukemia-1やAquaporinといった分子が癌細胞で高発現していることも見出した。Myeloid cell leukemia-1による扁平上皮癌の増殖制御をsiRNAによる遺伝子発現抑制などの手法で証明し、その成果を学会等に報告した。Aquaporinの癌細胞増殖における役割については現在、更なる検討を継続して行っている。また、本年度に得られた種々の知見や成果も国際外国雑誌に報告している。これらの結果は、扁平上皮癌のみならず、様々な癌細胞に対する薬物療法を考える上で重要な知見となるものと考えられる。
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