研究課題
基盤研究(C)
タクロリムスやその構造類似体が、神経細胞死を抑制することが数多く報告されている。その作用機序としては免疫系でのシクロスポリン等の研究とのアナロジーからカルシニューリン活性の抑制によるとされてきた。しかしながら、タクロリムスの細胞死抑制作用とカルシニューリンの活性が必ずしも相関しないことが明らかになりつつある。われわれはカルシニューリンAの制御因子として研究されてきたカルシニューリンBが単独で細胞死に関与するという全く新しい作用を見出した。この細胞死制御メカニズムを解明することが本研究の目的である。われわれのこれまでの研究で、カルシニューリンがカスパーゼを活性化し、アポトーシスを誘導することが明らかになった。この結果を破骨細胞において詳細に検討することにより、顎関節症などにおける過剰な炎症反応をコントロールし、難治性の本疾患の基本療法となる可能性が予想される。東京大学の加藤茂明教授らのグループは女性ホルモンのエストロジェシが破骨細胞にアポトーシスを誘導することを見出し、更年期のエストロジェン減少が骨粗鬆症を引き起こすメカニズムについて発表している(CELL130,811-823,2007)。このように、破骨細胞のアポトーシスは生理的にも非常に重要であると考えられ、そのコントロールは顎関節症のみならず多くの骨疾患の予防や治療につながると考えられる。実際に破骨細胞を用いた研究にまでは至らなかったが、この結果は、今後骨吸収を抑制する薬剤の開発につながると考えられ、われわれの成果が顎関節症などの骨吸収性疾患の治療に役立つことが期待される。
すべて 2007 2006 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 備考 (1件)
The Journal of Biological Chemistry 282
ページ: 11786-11794
Biochemical and Biophysical Reseazch Communications 342
ページ: 568-572
Biochemical and Biophysical Research Communications 342
http://www.dent.osaka-u.ac.jp/~pharm/index.html