研究課題/領域番号 |
18592041
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
原田 秀逸 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60128452)
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研究分担者 |
三浦 裕仁 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (80353936)
中山 歩 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (10398290)
友成 博 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (70398288)
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キーワード | 軟口蓋 / 大錐体神経 / 鼓索神経 / 味蕾 / 味覚感受性 / 分化 / マーカー分子 / マウス |
研究概要 |
軟口蓋味蕾は、ラットおよびハムスターでは甘味に対して特異的に大きな応答性を示すが、マウスでは苦味に対して大きな応答性を持つことが明らかになった。また、甘味および苦味の受容変換に関与するα-gustducinをノックアウトしたマウスの大錐体神経と鼓索神経の味覚応答を調べた結果、鼓索神経では甘味応答が、大錐体神経では甘味および苦味応答の大部分が消失した。gustducinは軟口蓋ではIP3R3発現細胞の96.7%に発現するが、茸状乳頭味蕾では42.4%しか発現しなかった。鼓索神経と大錐体神経をすげ替えて、再生した味蕾のIP3R3とgustducinの発現を調べた結果、それぞれの口腔内領域における本来の発現の特徴に変化が認められなかった。これらの結果は、口腔内の味蕾の味感受性の特徴は支配神経に依存するのではなくその領域の上皮に依存することを示唆している。 さらに、マウス胎仔の味蕾基底細胞マーカー遺伝子Shh, Prox1,およびMash1の発現を調べた。胎生12.5日に茸状乳頭原基のShhの発現開始の時期から、Prox1はShhと共発現した。軟口蓋では、Shhは胎生14.5日に、最前部では帯状に、後部ではスポット状に発現した。点状のShh発現部分の数(胎生14.5日に21.4±4.3個)は胎生15.5日まで急速に増加してピーク(54.8±4.0個)に達した。また、軟口蓋ではProx1はShhの発現開始の時期から共発現した。これらの結果は、舌前方と軟口蓋ともに味蕾基底細胞の分化がShh発現スポットのパターン形成と同調して起こることを示している。一方、Mash1発現はShhやProx1の発現より遅れ、軟口蓋ではShh発現スポット数がピークに達した後であった。さらに、PGP9.5とShh発現は、舌前方と軟口蓋ともに、上皮の神経支配はMash1の発現よりわずかに先行することがわかった。
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