• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2006 年度 実績報告書

催唾剤による口渇感誘発メカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 18592042
研究種目

基盤研究(C)

研究機関九州歯科大学

研究代表者

稲永 清敏  九州歯科大学, 歯学部, 教授 (90131903)

研究分担者 小野 堅太郎  九州歯科大学, 歯学部, 助手 (40316154)
キーワード口渇感 / 催唾剤 / ピロカルピン / ムスカリン受容体 / アトロピン / ラット / 唾液 / 飲水
研究概要

ピロカルピンはムスカリン受容体アゴニストであり、催唾剤として口腔乾燥症の治療に使用される。一方、動物実験において、ピロカルピンは口渇感による飲水行動を誘発することが分かっている。このように唾液分泌と口渇感という相反する作用と薬物の中枢での作用について調べるため以下のような実験を行った。
無麻酔無拘束ラットの腹腔内にピロカルピン(0.4-12μmol/kg)を投与した。唾液分泌量は1.2μmol/kgから濃度依存性に増加、また飲水量は4μmol/kgから有意な増加が認められた。ピロカルピン脳室内投与(0.03-30nmol)の場合、唾液分泌量は有意な増加が認められず、飲水量は0.1nmol以上で濃度依存性に増加した。このように唾液分泌と飲水行動における作用濃度の差と投与方法による差が生じた。そこで、中枢でのピロカルピン作用を遮断するため、ムスカリン受容体アンタゴニストであるアトロピンを脳室内に前投与した。ピロカルピン腹腔内投与12μmol/kgにおける飲水行動は抑制されたが唾液分泌は抑制されなかった。また、ピロカルピン脳室内投与30nmolにおける飲水量はアトロピン前投与により抑制された。さらに、ほぼ等しい飲水量を示したピロカルピン腹腔内投与12μmol/kg群とピロカルピン脳室内投与0.3nmol群において60分間の飲水時間経過を調べたところ、腹腔内投与群ではゆっくりとした飲水が45分頃まで続くのに対し、脳室内投与群では15分でピークを迎え、45分頃には終息するという結果を示した。また、唾液分泌においてピロカルピン腹腔内投与12μmol/mL/kg群と脳室内アトロピン前投与群を比較したところ有意差は認めなかった。以上のことからピロカルピンは中枢神経系に作用して口渇感を誘発し、唾液腺に作用して唾液分泌を促進することが示唆された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (6件)

  • [雑誌論文] Effects of cevimeline on salivation and thirst in conscious rats2007

    • 著者名/発表者名
      Sato N ら
    • 雑誌名

      Arch. Oral Biol. 印刷中

  • [雑誌論文] Subpopulation of nicotine-sensitive neurons in the rat subfomical organ2007

    • 著者名/発表者名
      Ono K ら
    • 雑誌名

      Dentistry in Japan 43

      ページ: 28-32

  • [雑誌論文] Relationship of chewing-stimulated whole saliva flow rate and salivary gland size2007

    • 著者名/発表者名
      Ono K ら
    • 雑誌名

      Arch. Oral Biol. 52

      ページ: 427-431

  • [雑誌論文] Activation of subfornical organ neurons in rats through pre- and post-synaptic alpha-adrenoceptors.2006

    • 著者名/発表者名
      Honda E, Ono K, Kataoka S, Inenaga K.
    • 雑誌名

      Am. J. Physiol. Integr. Comp. Physiol. 290

      ページ: R1646-R1653

  • [雑誌論文] Gender difference in unstimulated whole saliva flow rate and salivary gland sizes2006

    • 著者名/発表者名
      Inoue H ら
    • 雑誌名

      Arch. Oral Biol. 51

      ページ: 1055-1060

  • [雑誌論文] Galanin inhibits neural activity in the subfornical organ in rat slice preparation2006

    • 著者名/発表者名
      Kai A ら
    • 雑誌名

      Neuroscience 143

      ページ: 769-777

URL: 

公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi