研究課題/領域番号 |
18592049
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
宮本 洋一 昭和大学, 歯学部, 助教授 (20295132)
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研究分担者 |
上條 竜太郎 昭和大学, 歯学部, 教授 (70233939)
須澤 徹夫 昭和大学, 歯学部, 講師 (60271285)
高見 正道 昭和大学, 歯学部, 講師 (80307058)
山田 篤 昭和大学, 歯学部, 講師 (50407558)
赤池 孝章 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (20231798)
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キーワード | 細胞・組織 / シグナル伝達 / ストレス / 生体分子 / 生理活性 / 一酸化窒素 / 翻訳後修飾 / 硬組織 |
研究概要 |
ガス状ラジカル分子である一酸化窒素(NO)は、細胞内・細胞間の情報伝達物質のひとつであるが、その機能発現は従来のリガンド・レセプターの概念では捉えきれない。我々の報告も含め、NOあるいはNO代謝物による生体構成分子の化学修飾が情報伝達の機序であることを示唆するデータが集まりつつある。本研究は、これまでこのような観点から研究されることがなかった硬組織構成細胞におけるNO依存的な生体分子の化学修飾を明らかにすることを目的としている。解析対象としては、骨芽細胞、破骨細胞、軟骨細胞および象牙芽細胞を用い、種々の刺激前後におけるNO産生およびNO依存的な生体分子修飾を解析する。本年度は、次の3点に関して計画していた実験を実施した。まず、マウス切歯由来の歯随細胞から石灰化能など象牙芽細胞の形質を有する細胞培養系を構築した。すでに切削刺激が歯髄で誘導型NO合成酵素の発現を亢進することを見出していたことから、この歯髄細胞培養系にNOを付加したところ、NOは細胞の増殖を抑制し、石灰化を促進した。これは、切削刺激後の修復象牙質形成にNOが関与することを示唆する。次に、歯周病において顕著な破骨細胞形成の新たな機序として、歯周病菌由来のプロテアーゼが骨吸収因子に依存した破骨細胞形成を強力に促進することを見出した。最後に、関節疾患のモデルとして用いた炎症性サイトカイン刺激軟骨細胞においてNOと共存することにより生体分子の化学修飾に関わる酸素ラジカルの産生源としてNADPH-oxidaseの発現および活性化機序を明らかにするとともに、酸素ラジカルが細胞内外のpHを調節することによって細胞外マトリクス代謝を調節する機構を発見した。来年度は、これらの細胞培養系においてそれぞれの刺激前後における生体分子のNO依存的な修飾の変化を明らかにし、その生物学的な意義を解明したいと考える。
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