研究概要 |
本年度は、1)病熊歯科医学研究としてヒト歯肉溝滲出液(gingival crevicular fluid: GCF)中の骨代謝関連因子の探求、とくにRANKLとの関連性が強い破骨細胞由来Cathepsin-Kの定量ならびに2)骨芽細包の分化・増殖におけるOPGの新規な役割について詳細な基礎的検討を行った。結果:1)健常者との比較かち、ヒト歯肉溝滲出液GCF中の破骨細胞由来と考えられるプロテーゼCathepsin-Kと破骨細胞分化誘導因子RANKL濃度が歯周病の進行・ステージにより上昇変動が見られ、両者とも統計的有意な増加ならびに相互に相関を認めた(Mogi, M., et. al., Archs Oral Biol., 2007)。本実験結果は、私がJ. Dent. Res.(2003)に報告した実験結果を追試するだけでなく間接証明として、GCF中のRANKL濃度の亢進が実際にin vivoにて破骨細胞の分化誘導に通じる事、つまりヒト歯周病に伴う骨破壞にRANKL亢進による破骨細胞形成が深く関与する可能性を示唆した。2)OPG-knockout mouseにおける血中RANKLおよびOPGの変化と骨代謝異常の関連性について精査した。その結果OPG-knockout mouse血中RANKL濃度の顕著な増大を発見した。本実験結果はOPGの新規な生理的役割として膜結合型RANKLの可溶性型RANKLへの移行を調節するユニークな作用を持つことを初めて明らかにした(Nakamichi, et. al., J. Immunol., 2007)。
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