研究概要 |
平成18年度において,破骨細胞には3種類のNCX variant(NCX1.3,NCX1.41,NCX3.2)がCa^<2+>輸送経路として存在し,骨吸収に重要な機能分子であることが明らかとなった。平成19年度は,各NCXサブタイプに選択性が高い4種類の阻害剤が入手できたので,まず,各NCXを介するCa^<2+>輸送機能や骨吸収活性に対する効果を調べた。その結果,検討した4種類のNCX阻害剤はいずれも濃度依存的にNCXのCa^<2+>輸送機能を減弱させると共に骨吸収を抑制した。また,NCX1ノックアウト(KO)マウスが入手できたので,このマウスを用いてNCX variantの骨代謝における役割をさらに解析した。NCX1KOマウスは胎生致死なので発現量が約50%のNCX1ヘテロマウス由来の破骨細胞と野生型を比較した。その結果,NCX1ヘテロマウス由来の破骨細胞ではNCXを介するCa2+輸送機能及び骨吸収機能が部分的に抑制されていた。以上の結果より,破骨細胞には3種類のNa+/Ca^<2+>交換輸送体(NCX)variant(NCX1.3,NCX1.41,NCX3.2)がCa^<2+>輸送経路として存在し,骨吸収に重要な機能分子であることが明らかとなった。また,破骨細胞のNCXは高Ca^<2+>濃度環境のruffled border膜においては,reverse mode(Ca^<2+>流入モード)を介して遊離Ca^<2+>を細胞内に取込み,組織液中にCa^<2+>を輸送する重要な役割を果たしている可能性も示唆された。これらの研究成果は,Endocrinology(148:2116-2125,2007)に掲載されている。
|