これまで結果より、グルココルチコイド刺激により唾液腺細胞(HSG)のBmall遺伝子が概日リズムを持って発現しており、リアルタイムレポーター測定により転写レベルで概日リズム調節されていた。さらにBisulufite法によるDNAメチル化解析を行ったところ、唾液腺細胞(HSG)においてもNIH3T3細胞等と同様にBmall遺伝子プロモーター領域は低メチル化状態であった。 本年度において、唾液腺細胞(HSG)におけるBmall遺伝子のクロマチン構造をマイクロカコッカルヌクレアーゼ(MNase)消化によるindirect endlabelingにより解析したところ、NIH3T3細胞と同様にRORE(RORおよびRev-erb結合配列)周辺領域がオープンなクロマチン構造になっていることが示唆された。この様なオープンクロマチン構造は、HeLa細胞やMCF-7細胞においても観察されたことより、時計遺伝子Bmallに特異的な構造であることが推察された。またBmall遺伝子の転写調節因子群についてリアルタイムRT-PCR解析を行ったところ、これまで報告されているNIH3T3細胞や肝臓細胞またHeLa細胞やMCF-7細胞とは異なっていることが判明した。これらの結果より、唾液腺細胞(HSG)のBmall遺伝子は時計遺伝子特異的なクロマチン構造をしているのみならず、唾液腺細胞(HSG)特異的な転写調節機構を持っており、これにより唾液腺特異的な生物リズム調節を行っていることが示唆された。
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