研究課題/領域番号 |
18592061
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
林 孝文 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80198845)
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研究分担者 |
平 周三 新潟大学, 医歯学系, 助手 (70313525)
朔 敬 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40145264)
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キーワード | 舌 / 扁平上皮癌 / 表在癌 / 超音波診断 / 口腔内走査 / 粘膜上皮層 / 粘膜下層 / 筋層浸潤 |
研究概要 |
これまでわれわれは、舌癌の好発部位である舌側縁の正常超音波像として、粘膜表面より線状高エコー、線状低エコー、面状高エコーの順に3層構造が認められ、これらはそれぞれ粘膜表面での反射、粘膜上皮層、粘膜下層・固有筋層が描出されていると考えられることを示してきた。今年度は、こうした3層構造が、特に臨床的に筋層浸潤の有無が問題となる表在癌(深さ0.5cm以下)においてどのように描出されるか、超音波像を病理組織像と比較検討した。対象として、2006年9月までの間に当施設にて口腔内走査を施行した舌扁平上皮癌症例のうち、病変が平坦で薄く、超音波像で深さ0.5cm以下であった8症例を抽出した。年齢は最高71歳・最低44歳・平均63.4歳、性別は男性5例・女性3例であった。超音波診断装置にソノサイト社製TiTANを、超音波プローブとしては本研究費により購入したホッケースティック型術中探触子及び電子リニア探触子を使用した。音響カップリング材として、厚さ0.3cm及び1cmの高分子ゲルを使用した。舌側縁の腫瘍に対して、Bモード法及びパワードプラ法による口腔内走査を行い、超音波像を撮像し、腫瘍切除後に得られた病理組織標本のマクロ像との比較検討を行った。その結果、8症例のいずれにおいても、腫瘍は、粘膜上皮層の肥厚像として描出されていた。また腫瘍直下では、粘膜上皮層と粘膜下層・筋層との境界が不明瞭となり低エコー化していた。パワードプラ法では、粘膜上皮層と粘膜下層・筋層の境界相当部に血流が認められた。以上より、舌癌は粘膜上皮層の肥厚像として明瞭に描出されること、腫瘍直下の粘膜下層・筋層の低エコー化は細胞浸潤によるものと考えられ、パワードプラ法での腫瘍直下の血流情報とともに、筋層浸潤の指標になりうるものと考えられた。研究成果は第6回アジア口腔顎顔面放射線学会議(2006年12月,ベンガルール)にて発表した。
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