研究課題/領域番号 |
18592061
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
林 孝文 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80198845)
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研究分担者 |
平 周三 新潟大学, 医歯学系, 助教 (70313525)
朔 敬 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40145264)
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キーワード | 舌 / 扁平上皮癌 / 超音波診断 / ドプラ法 / 口腔内走査 / 粘膜上皮層 / 粘膜下層 / 筋層浸潤 |
研究概要 |
平成19年1月にGE社製のホッケースティック型口腔内探触子(i12L-RS)が当施設に導入されたため、昨年度本研究費で購入したソノサイト社製口腔内探触子との比較検討を行なった。前者には、超音波診断装置本体としてGE社製LOGIQ-eを、後者には、ソノサイト社製TiTANを組み合わせて使用した。正常例における舌側縁の解剖構造の描出について評価した結果、いずれの探触子においても、(1)粘膜表面での反射(線状高エコー)、(2)粘膜上皮層(線状低エコー)、(3)粘膜下層・固有筋層(帯状高エコー)による三層構造が明瞭に描出された(「歯科臨床における画像診断アトラス」に収載)。 平成19年度の臨床症例は舌扁平上皮癌20例を経験した(上皮内癌2例を含む)。転移陽性群は11例(初診時転移陽性4例・後発転移7例)、転移陰性群は9例(頸部郭清術により確定1例・経過観察8例)であった。口腔内走査により計測された初診時の腫瘍の厚みは、転移陽性群では最高21mm・最低2mm・平均84mmであり、転移陰性群では最高7mm・最低2mm・平均3.9mmであった。超音波所見と所属リンパ節転移との関係を評価した結果、数値的にはオーバーラップがあるものの、両群間には5%の危険率で統計学的な有意差が認められた。また、リンパ節転移を予測する上での厚みのクライテリアを5mm以上とすると判別能が最も高く、sensitivity82%・specificity78%・accuracy80%となり、従来報告されている基準5mmの有用性が再確認された。超音波所見と病理組織所見を比較した結果、癌は粘膜上皮層の肥厚像として描出され、筋層浸潤の程度において超音波像と病理像との間に高い関連性が認められた。また、癌の辺縁部には豊富な垂直の血流が検出され、癌とそれ以外の病態との鑑別に有効な所見となりうる可能性が示唆された。
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