研究課題
基盤研究(C)
平成18年度:まず適切な超音波口腔内走査法について検討した。次に正常舌粘膜にみられる3層構造が、表在癌(深さ5mm以下)においてどのように描出されるか、舌癌8症例を用いて超音波像を病理組織像と比較検討した。その結果、腫瘍は粘膜上皮層の肥厚像として描出されていた。また腫瘍直下では、粘膜上皮層と粘膜下層・筋層との境界が不明瞭となり低エコー化していた。パワードプラ法では、この境界相当部に血流が認められた。平成19年度:舌癌20症例を用いて口腔内超音波所見と頸部所属リンパ節転移との関係を評価した。その結果、リンパ節転移を予測する上での厚みのクライテリアを5mm以上とすると判別能が最も高く、感度(sensitivity)が82%、特異度(specificity)が78%、正診率(accuracy)が80%であった。超音波所見と病理組織所見を比較した結果、癌の辺縁部には豊富な垂直性の血流が検出され、癌とそれ以外の病態との鑑別に有効な所見となりうる可能性が示唆された。本研究により、推奨されるべき口腔内超音波撮像法を呈示することができ、これまで十分には述べられてこなかった正常舌粘膜の口腔内超音波所見や、舌癌に特徴的な口腔内超音波所見について明らかにすることができた。またリンパ節転移を予測する上での癌の深達度(厚み)について、5mmというひとつの指標を得ることができた。しかし、癌の浸潤先端の超音波所見と病理組織像との相関関係については、癌深部には細胞浸潤による境界不明瞭な低エコー域が存在し、通常のBモード法では正確な浸潤先端の特定は困難であったため、十分な検討はなしえなかった。今後は、超音波組織弾性イメージングを併用して、腫瘍領域をより明確化して癌の浸潤先端の超音波像を明確化したいと考える。
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日本口腔科学会雑誌 57
ページ: 110
The Atlas of Diagnostic Imaging in Dental Practice(The Japanese Society for Oral and Maxillofacial Radiology(Ed.))(Ishityaku Publishers, Inc)
Journal of Japan Radiological Society Vol. 66
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Journal of The Japanese Stomatological Society Vol. 57(1)
日本医学放射線学会雑誌抄録集 66回