研究概要 |
本研究は我々と研究協力者Dr. Cornelia Kober, Professor, Ph. D(ハンブルグ工科大学)による国際共同研究の一環である。CT及びMRによる三次元データを得て, 「組織を正確に抽出し領域分けするというセグメンテーション」と「特に下顎骨に対する力学的特性を解析する有限要素法モデリング」である。そこで, CT画像だけでなくMR画像に基づいた有限要素モデリングを顎関節部の構造を重視して行うものである。研究の最終年である。2年前, 研究代表者(早川)が東京歯科大学から北見工業大学に転職した。この機会に新しい研究手法を手に入れ、計算力学領域の研究者と共有できる実験機器・ソフトウエアの活用を行った。また、2008年9月には、Dr. Cornelia Koberが北見工業大学の外国人招へい研究員として滞在し、共同研究を行った。 そこで引き続き, CTとMRIを利用した3次元画像によって個体別シミュレーションを行い, 生理的な変化を説明・予測するためのバイオメカニカルな手法の適用を検討した。それによって構造の単純化から脱して顎関節部構造の力学的な性質を詳細に模擬し, 高精細なMRIで関節円板や外側靭帯のモデリングを行った。またコーンビーム型歯科用CTによる顎骨領域における三次元データを利用しそ骨組織における構造力学的解析を行った。顎関節症の病態解明で業績のある共同研究者の佐野によって, このシミュレーション研究が顎関節症患者の生理的状態の病態診断や予後の予測に役立つかどうな検証されている。このような成果をCARS2009 Congress (Berlin, Germany, June 2009)において発表するために、顎関節疾患のspecial sessionをオーガナイズし、"Efficient support of TMJ diagnosis and therapy by computer aided visualization and simulation"と題して発表する予定である。
|