研究概要 |
研究実施計画に従い,口腔細菌による誤嚥性肺炎発症の実験動物モデル確立,および感染実験による呼吸器関連リンパ組織および関連器官におけるリンパ球の細胞生物学的解析を行った。Candida albicans(C. albicans)を用いて上気道への感染実験を行った結果,1x10^7個のC. albicansを経鼻吸引させることによって,比較的安定して気管内に定着させることができた。これによって,粘膜ワクチンの効果判定に有効な実験モデルが確立できると考えられる。一方,Porphyromonas gingivalis(P. gingivalis)を用いた感染実験では,気管内への定着期間が短く,P. gingivalisの単独感染では定着が困難と思われる。P. gingivalisについては,口腔細菌による誤嚥性肺炎の原因菌として注目されていることもあり,今後,さらに感染部位に予め炎症を発生させることによって定着が可能かどうか継続して検討する。 口腔細菌の上気道感染が誤嚥性肺炎と同レベルの生体反応を誘発すると仮定し,感染後の免疫学的応答を解明するため,C. ablicans感染後の肺,気管,および所属リンパ節の病理組織学的検討,ならびにリンパ球を中心に免疫担当細胞についてそのフェノタイプや細胞生物学的検討を行った。これまでの結果では,感染部位に炎症性細胞浸潤が認められているが,局所における抗体産生認めらなかった。今後、粘膜免疫群を加え,両群の比較を行う予定である。本年度得た結果の一部は,86回国際歯科研究会(July,2008,Tronto)にて報告予定である。
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