研究概要 |
口腔細菌による誤嚥性肺炎モデルの作製を確立するため複数の実験群を設定し,マウスの気管粘膜面からCandida albicans(C.albicans)検出できるかどうかについて検討した。実験群1はC.albicansの懸濁液を麻酔下のマウスに吸飲させた群。実験群2はC.albicansを直接気管に感染させた群。実験群3は口腔カンジダ症を発症させた群(口腔カンジダ症が気管にカンジダが感染させるかどうかを検討)とした。実験群1は短期間であれば気管粘膜からC.albicansは検出できたが,数週間後には消失した。実験群2については,直接気管内に感染させるため,器具による咽頭および喉頭を含め機械的な刺激が強く,本実験に適切な感染法ではないとの結論に達した。実験群3は,現在,口腔カンジダ症発症後の経過を追っているが,気管からC.albicansの検出を認めており,ヒト口腔のシミュレーションを行うという点からも妥当な感染法になりうると思われる。 一方,免疫群ではcholera toxin(CT)を粘膜アジュバントとし,カンジダ抗原と同時に経鼻免疫を行った。免疫は1週間後に再度行った。C.albicans特異的免疫応答について,非感作のマウスの唾液および血清を用い,上記免疫群とELISAにより比較したところ,免疫群において有意に高い値が得られた。さらに,免疫群に実験群1の感作を行ったところ,感作後C.albicans房0紐8の検出率は有意に低い値を示した。 これらのことは,CTを粘膜アジュバントとしたカンジダ抗原の経鼻免疫がC.albicansの気管粘膜への感染・定着を抑制することを示している。
|