研究概要 |
口腔癌治療における放射線療法の役割は大きい.特に舌癌では小線源の利用によって,その根治性はいっそう高くなる.治療効果をあらかじめ予測することができれば,照射法や化学療法剤の選択および予後の予測に対して大きな貢献ができる.画像によって,この判定ができれば,その臨床的な有用性は非常におおきい.本研究プロジェクトは舌癌の放射線治療効果を予測する画像所見を原発巣と頸部リンパ節転移巣に分けて見出すことを最終目標とするが,その前段階としては,放射線治療によって画像がどのように変化するかを詳細に把握する必要がある.PETの利用についてはこれまで報告されていないfalse-positiveの所見が明らかとした.舌筋群の運動のバランスの崩壊が原因と思われた.これに関する論文はBritish Journal of Radiologyに受理された.MRに関しては放射線治療後の所見と再発との関係を分析した.この結果は,本年5月の口腔科学会で発表予定である.また,予後を左右する頚部リンパ節転移の画像所見を再評価し,診断の精度を向上するためには施設の特徴を考慮して,診断基準をカスタマイズする必要があることを確認した.その成果は口腔外科学会雑誌に掲載予定である.さらに新しい展開として,舌癌の硬度と予後の関係を検討するために,圧力センサーを利用した高度計測のシステムを構築し,その可能性を探った.
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