研究概要 |
1. 歯科用光照射器は頬粘膜、舌、歯肉、あるいは唾液によって汚染されることが多いが、光照射器は洗浄、消毒および滅菌などの感染予防対策に非対応の機種が多く、現状での感染対策は不十分である。そのため、照射器の先端部を保護するため、ディスポーザブルの被覆材が開発されている。ハロゲンタイプ3台とLEDタイプ1台の計4台の照射器に、2種類の照射器先端部専用カバー、および各種診療器材の汚染防止用被覆材として使用されている2種類のカバーを用いて、被覆した場合の光量を測定した。照射光量の平均値は、被覆材を装着しない条件では478〜1, 520mW/cm^2を示したが、被覆材を装着した場合には446〜1, 484mW/cm^2になり、照射光量は有意に低下した。しかし、被覆材による光量の低下よりも、照射器間の照射光量の差がきわめて大きく、照射光量は使用する照射器の性能に大きな影響を受けることが示された。 2. 光照射器先端部の汚染度を調査するために、先端部に付着している細菌数の測定を、ふき取り試験法で行なった。使用前の細菌数は0〜33個、使用後の細菌数は0〜1.8×10^3個であった。照射器が口腔内の軟組織や唾液に接触した場合などには、汚染が著しく、付着細菌数は照射前に比較して10^2〜10^3個の細菌数の増加を認めた。 3. 照射器に対して、洗浄、消毒、オートクレープ処理などの十分な感染予防対策が行えない環境下では、被覆材の使用は有用であることが示唆された。
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