研究課題/領域番号 |
18592083
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
北迫 勇一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (30361702)
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研究分担者 |
田上 順次 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50171567)
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キーワード | 初期う蝕 / う蝕リスク / エナメル質 / 再石灰化 / う蝕細菌 / PCR / pH / 唾液 |
研究概要 |
東京医科歯科大学歯学部附属病院むし歯外来に来院した患者で、エナメル質white spotを保有し、本研究の研究参加に同意を得られた8名の口腔内にて、再石灰化促進剤CPP-ACP配合MIペーストによる再石灰化療法を試みた。即ち、対象歯を含む全顎印象を採特してMIペースト用の個人トレーを作製し、同トレー内にペーストを注入して、日々30分間装着するホームケアを行う様に指示した。観察期間は最低9カ月最大24ヵ月間とし来院時毎に、口腔内写真とエナメル質white spot表層のpH測定を行った。また、同被験者から刺激唾液を採取して唾液緩衝能評価を行い、患者個々のカリエスリスクが再石灰化に及ぼす影響について検討を加えた。さらに、Real-time PCRを用いて、刺激唾液中のう蝕原因菌叢を遺伝子学的に分析した。その結果、全8症例において、観察期間の長い症例においてwhite spot部の顕著な色調回復を認めた。また、全症例において観察1ヶ月後よりwhite spot表層部におけるpH値の上昇を認めた。これにより、同微小pHセンサーを用いたwhite spot表層pH測定が、口腔内における微細な再石灰化現象を評価する上で有効であることが確認されたとともに、このpH変化が患者のモチベーション維持にも有効であることが示唆された。一方、カリエスリスクと再石灰化との関連性は認められず、再石灰化療法中の唾液中う蝕原因菌叢変化にも顕著な変化を認めなかった。この要因として、トレー法を採用することによりCPP-ACPの効果が歯面のみに作用したことが考えられた。
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