研究概要 |
1.矯正学的理由で便宜抜歯したヒトの健全な幼若小臼歯を,自動精密切断機・アイソメットを用いて培地を滴下しながら無菌的に歯軸方向に割断し,象牙質と歯髄を含む500-700μmの厚さの試料(象牙質・歯髄複合体試料)を作成した. 次いで10%ウシ胎児血清(FBS)を含むイーグルMEM(EMEM)培地に,1.で得た試料を入れて,それぞれ熱刺激(42℃)、pH刺激(pH6以下)、およびカプサイシン刺激を加え、CO2 5%,湿度100%の条件下で培養した.現在、培養上清中におけるVR-1および炎症性サイトカイン(主にIL-6とTNF-α)の発現をELISAおよびWestern blotで解析中である。VR-1を介した発現であるかどうかは、VR-1のアンタゴニストであるCapsazepineを用いた。 2.試料組織におけるVR-1の発現解析 培養3,7,14,21,30日後に培地から試料を回収してパラフィン切片を作成し、VR-1ポリクローナル抗体を用いた免疫組織化学的染色を行った。 3.各種サイトカイン産生細胞の同定:同じく各試料を用いて,各サイトカインに対する抗体を用いた免疫組織化学的染色を行い,各成分の組織内局在を調べる.さらに各サイトカインのcDNAプローブ(すでに培養歯髄細胞の実験系で調整ずみ)を使用してin situ-PCRおよびin situ RT-PCR法を行い,各サイトカインmRNAの発現細胞を最終的に同定した。 4.総括:現在、以上の実験成績を総合的に解析して、歯髄疼痛発症機構に関する論文を作成中である。
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