研究課題
基盤研究(C)
(目的)ヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)は種々の細胞増殖因子や基底膜細胞外マトリックス成分などの広範な蛋白質と結合してこれらの蛋白質の活性や機能を制御したり、細胞内に特異的なシグナル応答を導く。我々が作成した象牙芽細胞様細胞が多く含まれるcDNA libraryから無作為に200個めクローンを採取し塩基配列を調べたところ、Glypican-1が含まれていた。Glypican-1(GPC-1)は細胞膜表面に存在する細胞膜型HSPGである。歯髄の治癒過程におけるGPC-1の発現を酵素抗体法によって調べたところ象牙芽細胞様細胞で発現していた。本研究の目的はGPC-1以外の細胞膜表面に存在する細胞膜型HSPG(Syndecan-1、Syndecan-2、Syndecan-3、Syndecan-4)の発現と象牙芽細胞様細胞の分化や第三象牙質産生との関係をラット培養歯髄細胞を用いて検討することである。(材料及び方法)5週齢の雄性Wisterラット(同腹)7匹の下顎切歯より歯髄組織を摘出し、Collagenase、trypsin、EDTAを含む酵素液にて細胞を分離し5%CO_2条件下にてα-MEM培地に10%FBSを加え培養し1週間後に6ウェルプレートに1x10^5個/wellにて継代した。300μg/ml βGlycerophosphate、50μg/ml Ascorbic acidをさらにα-MEM(FBS)に加えて培養した。培養液は2日ごとに交換した。培養3日、6日、10日、15日にてそれぞれTotal RNAを抽出しc-DNAを合成し、GPC-1、Syndecan-1、Syndecan-2、Syndecan-3、Syndecan-4 geneの発現をRT-PCRによって調べTGF-betaI、Dspp、Osteocalcin geneと比較した。(結果)培養歯髄細胞におけるSyndecan-1、Syndecan-2、Syndecan-3、Syndecan-4 geneの発現が認められSyndecan-2、Syndecan-3は培養日数の経過による発現量の変化はあまり顕著でなかった。Syndecan-1とGlypican-1の発現は培養日数の経過とともに増加していた。(考察及び結論)培養歯髄細胞における細胞膜型HSPGのSyndecan-1とGlypican-1の発現は象牙芽細胞様細胞の分化の過程によって培養時間とともに増加していた。細胞膜型HSPGの象牙芽細胞様細胞の分化や第三象牙質産生への関与の可能性が示唆された。
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